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関心領域のmarikabraunのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
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グロテスク。アウシュビッツ収容所すぐ隣の立派な家で暮らす所長とその家族たちの裕福で穏やかな日常。妻が嬉しそうに美しい庭のデザインと植物について語るいっぽうで、壁一枚隔てた向こう側では断末魔の叫びと銃声、立ちのぼる炎。ただならぬ気配があるのに最早それが日常なので誰も言及しない。さらに画面の殆どがフィックスのロングショットであることで、傍観者としての自己が際立つ。この静けさと距離感はあまり観たことがなかったのですごく怖かった。平然と見て見ぬふりが出来てしまう世界で私たちはどのように踏みにじられた誰かを想像し、改め、忘れないことが出来るだろうか。前作アンダーザスキンから引き続きMica Leviによるサウンドデザインを楽しみに観たけれど、同年公開の落下の解剖学ですばらしい演技だったザンドラ・ヒュラー、彼女にとって大きな年になったことは間違いない。@ Barbican Cinema
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