このレビューはネタバレを含みます
初のアキ・カウリスマキ監督作品。
場所はフィンランドの首都ヘルシンキ。偶然出会った男女のラブストーリー。あまり台詞も多くなく、役者の表情も喜怒哀楽は乏しいのは、監督独特の演出のようだ。シンプルなストーリーなのだが、所々癖があるというか可笑しさも混じっている。
携帯電話はあるが電話機能のみ。カラオケも、曲目の書いてある本から選曲するスタイル。日本での昭和から平成初期の時代を感じるのに、ラジオからはロシアとウクライナの戦争のニュースばかりが流れているという状況。
冒頭のラジオから流れてきた曲の中に、一瞬、赤い鳥のヒットソング"竹田の子守唄"が流れてきたのにはビックリした。
スーパーのバイトやリサイクル工場を首になったり、アパートの電気を止められたりとなかなか厳しめなエピソードが続く。生活そのものはとてもシンプルで、福祉国家フィンランドを垣間見た感じがする。
新しい仕事をちゃんと見つけたり、野良犬を保護したりと彼女の芯の強さと優しさが伝わる。アル中の彼も、一念発起して酒を断ったりする真面目さがある。不器用な男女の微笑ましい愛の物語。