Taul

枯れ葉のTaulのレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
5.0
『枯れ葉』なんて華がない(犬まで笑)のにここまで美しいのだろう。ラストですべてが繋がって涙が。ありがとう、カウリスマキ。最高の映画納めでした。

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『枯れ葉』前作の『希望のかなた』ではカウリスマキが怒ってる、と書いたが本作は自分のやってることは間違ってなかった、今こそ必要ではと驚く程何も変えずに労働者の恋を描き切る。それこそが戦争と格差への問い掛けだし、小津やチャップリンらへの映画愛溢れる唯一無二の彼の映画世界になっていた。

『枯れ葉』カウリスマキをずっと見てきたが、ラストですべて繋がったようで嗚咽してしまった。カウリスマキ流の人生讃歌であり、これこそがそれを映像にしたものだよ宣言。パンフレットが良くて、もはや小さな絵画展といっていい程決ったショットの数々が、美しいカラー印刷で収めてある。

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カウリスマキの『枯れ葉』。邦題が『枯葉』でないのが、過去作の『浮き雲』が『浮雲』でないのと同じ感じでいい。
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