ゆめちん

枯れ葉のゆめちんのレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
4.0
枯れ葉

2017年に引退を決めたアキ・カウリスマキ監督が6年ぶりに戻ってきてくれたのは嬉しい限り。

北欧フィンランドの首都・ヘルシンキ。アンサはルールを犯しスーパーをクビになり、酒浸りのホラッパは建設現場を転々としていた。ある晩、カラオケバーで出会った二人は、互いの名前も知らないまま恋に落ちてしまう。

派手なシーンはなくどこか既視感のある物語。背景にあるのは悲痛な社会の現実だが、貧しい中にも希望を見出し、懸命に生きる人々の眼差しが温かい。

現代ではあるがどこか懐かしいヘルシンキの街並み、極端に少ない台詞、飾り気のない演出、控えめに挿入されるユーモア、自由で大胆な音楽、溢れ出る映画愛、そして "犬" 。
そんなカウリスマキらしさにほっこりするも、悲痛さを増す現実の中で、人と人との素朴な触れ合いが必要であるという監督の強いメッセージが伝わってくる。
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