このレビューはネタバレを含みます
GAGAさんの試写会にて。
雪山の山荘で男が転落死する。
男の妻に容疑がかかり、証人は視覚障害のある11歳の息子。
最後の最後まで、他殺なのか自殺なのか?
というサスペンス要素で楽しませてくれつつも、映画の本題は「切り取られた一部で人を判断することの是非」だと思った。
裁判が進むほど妻に不利な証拠が出てきて報道もされる。しかしそれは表面的な一部でしかなくて実際はどうなのか分からない。
パクり問題にも言及していて、妻は小説家としてどんどん成功していく中で、夫のアイデアを盗んだことが発覚する。
妻の言い分では、夫はそのアイデアを形にすることができなかったし使って良いと言った。さらに夫が書いたのは27ページでありそれを妻は300ページの小説として書き上げている。
現実世界でもそういう問題があるけど、アイデアを思いつくのと作品として形にするのではどちらがえらいのだろうか?
最終的に妻は無罪になるものの、映画では実際に何が起こったかは描かれない。裁判でも決定的な証拠は出てこず無理やり有罪か無罪か決めなければならないから決めましたという感じが否めない。しかも有効打となったのは目の見えない少年の感情的な証言でさらにこの少年はしばしば曖昧な証言をしている。
弁護士もどうやら妻のことが好きで、事実なんてどうでも良いから無罪を勝ち取ることに全力を尽くしている。
観た方としては本当にこれで良いのか?という余韻が残るが、この映画がまさに社会に問いかけている疑問なのだと思う。
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