淡々とした映画と聞いていたけど、本当に淡々としていた。
前日に「哀れなるものたち」を観ていたからなおさらギャップを感じたな~。
でもイコール退屈な映画ではなく、常に主人公、平山の気持ちを感じ取ろうと観ている時に神経を研ぎ澄ましていて、些細なことにも感情が動く平山に同化してる自分に気付く気がした。
平山の感受性はとても鋭利で、ちょっとした楽しいことや美しいものに対してずっと微笑んでいたり、悲しいことには泣いたりしていた。
同化出来たのは平山に違和感なく感情移入が出来ていたからだと思う。
ほんの僅かでも平山の行動に違和感を感じたらこの映画は失敗で、ストーリーの展開やアクション、特撮やCGといったものに頼ることが出来ない点で、本当に難しくてストイックな映画だと感じた。
便利さや効率ではなく、昔からあるカセットテープやフィルムカメラの様なアナログなものを愛するところも印象的。
それにしてもこれだけ同じ毎日を淡々と繰り返す映画が、これだけ評価され、アカデミー賞にノミネートされるなんて驚き!
日本のトイレの綺麗さ、その仕事への偏見、観ていて色んなことを考えさせられた。
ラストの平山の泣いているのか笑っているのか分からないアップのシーンが印象的。
平和で心が洗われる映画だった。