ゆき

PERFECT DAYSのゆきのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.3
tokyo

その瞬間、ただ一度だけのもの。
同じようで少しづつ変わる日々とその時の感覚を重宝できたら、と何気ないことに目を向けられる一作でした。

当たり前にみんな違う世界に住んでる。少しづつつまみ食いしてるからちょうどいいことも多い。新旧どちらの感覚も持ち合わせてたいと思える124分。
風情ある下町と渋谷区の装飾された公衆トイレの交差。綺麗すぎるようにも見えるけど、主人公・平山が思うPERFECTにずっと浸ってたかった。そして、少し先の未来ではこれくらい綺麗な公衆トイレが成り立つくらい人の気持ちに余裕があると良いなとも願った。

唐突にぶつけられる嫌悪も穏やかに見送るために必要なこと。仕事へのこだわりとか日々の楽しみとか、自分の軸になるものがあるって良い。加えておかえり、と言ってもらえる環境は大事にしていきたいと思い返される。

田中泯さんとの無言のコミュニケーションと三浦友和さんとのやり取りが特に印象的。不意な松居大悟さんにも笑った。

切れない血縁関係も然り、私の物語と重ねながらこの作品を繰り返し嗜んでいけたら。
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スカイツリーを見上げる古いアパートの一室。夜明け前に起床し草木を愛でる寡黙な清掃作業員の平山。同じような繰り返しの日々に見えて、少しずつ変わる様をつむぐ。
ゆき

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