前回悪く書きすぎちゃったので素直な気持ちで再レビュー。
とりあえずモヤモヤする映画歴代No. 1。
見終わってから段々と大きくなる違和感と気持ち悪さの正体はおそらく表層の綺麗なベールに包まれた奥に何かしらの欺瞞が透けて見えるからだと思います。
タチが悪いことにその表層の映像表現がとても綺麗で、できればそこにずっと浸かっていたい気にすらなります。
清貧を是とする真面目な日本人に刺さるポイントもしっかり押さえているので尚更心地よく感じる人も多いはず。
でも、実際この映画で体験するのは平山にとっての都合の良い要素だけで作られたファンタジー世界でマトリックスみたいなもの。
世間から一定の距離を置きつつ、誰からも干渉されることのない気ままな生活をし、ささやかな趣味に勤しみ、女性からもモテちゃったりもする。そんな心地の良い世界。
平山は自ら望んでトレイ作業員として働いているが、現実世界でやりたくてやってる人は殆どいないだろう。
現実の社会的弱者は不完全で崩壊しそうな日々の中あくせく働き、平山のような木漏れ日を楽しむ余裕などない。
慎ましい生活の中にこそ精神的な豊かさが見えるよね的なことを電通の人間やユニクロの柳井などの圧倒的なヒエラルキー上位に位置する側から促されるとはなんたる皮肉。
ああ、また悪く書いてしまった。
