ネノメタル

いずれあなたが知る話のネノメタルのレビュー・感想・評価

いずれあなたが知る話(2023年製作の映画)
2.0
娘が誘拐された割には冷静な若い母親も無職のヤバげな引きこもりニートの男性も全体的に人間ドラマに対峙するというより隠しカメラで彼らを背後から覗き見るようなある意味斬新な映像作品だなと思った。
 でもその反面そういう「引き」の映像ばかり見せられて、でもその割には群像劇みたいにポンポン登場人物のシーンが切り替わってくるしで彼らの心象風景が曖昧で正直イライラしたのも事実。
トータルで非常に薄っぺらい感じがしたんだな、こういう引きの映像ばかりだと。
この不安感(不快感)の所在は何だろう?と考えた時に、こちとらスクリーンに真正面に向かってしっかり観ようとしてんのにはぐらかされるってか勝負してくれない感があるのだと思う。やっぱ映画ってのは登場人物の表情にしっかりと真正面から向き合ってこそ成立するものなんだなと逆説的に本作品を観て学んだりもして。
でもそんな作風でも唯一良かった点はそんな断片の景色が幾重にも折り重なってこそあのラストシーンが引き立つものだと知った時。
その時私は、タイトルの意味が分かってゾッとした。
まあ良くも悪くも【新感覚のサイコサスペンスムービー】だと思う。
あと数点だけど妙にアート寄りのエフェクトのある映像が重なったりするのもちょっと面白かったかな。あとエンドロールの文字が踊ってるのもちょっと面白かった。
私的には感性に合わなかった部類の作品だけど現に大傑作ぐらいに大絶賛してる人もいたりして評価が真っ二つに分かれるってのも本当に分かる。
でもそんな事実を真正面から受け入れた上でテンポよく作品の魅力を語る舞台挨拶がとても良かった。
 世の中分かりやすい作品で溢れているから今後も確信犯的な作品をバンバン作って欲しい。
ただその時は登場人物を真正面から撮って心象風景を抉り出して欲しい。
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