ゆめちん

キリエのうたのゆめちんのレビュー・感想・評価

キリエのうた(2023年製作の映画)
4.0
キリエのうた

住所不定の路上シンガーであるキリエは、ある事が原因で歌うことでしか "声" が出せなくなってしまった。そんなある日の夜、路上で歌っていると、通りすがりの謎の女性に "何か歌って" と声をかけられる。

音楽が重要な要素を担ってきた岩井俊二監督作品だけど、ここまで音楽を前面に押し出した映画は久しぶり。オリジナル楽曲が多い中、ひと昔前の楽曲のカバーも何曲かあり、つい口ずさみたくなる。

岩井俊二らしい独特な映像美で、キリエの "幼少期" "高校時代" "現代" を交互に観せながら、登場人物たちの過去や関係性を明らかにしていく。それらがゆっくりと交わり1つになっていくのが心地よく、あっという間の3時間だった。伏線を完全に回収していないのに、モヤっとせずに余韻として残るのは監督のなせる業か。

広瀬すずや黒木華といった主役級の面々を脇に置き、堂々と1人2役を演じたアイナ・ジ・エンド。歌詞の1つ1つが心に響き、彼女の歌声を聴くだけでも観る価値あり。

イッコを演じた広瀬すず。映るたびに衣装や髪の色が違うのがお洒落。本作ではこういった役もこなすのかと少し驚いたが、様々な役柄を演じながら女優としてのキャリアをしっかりと積み上げている印象。イッコの高校時代も演じるが全く違和感がなかった。
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