スワヒリ亭こゆう

キリエのうたのスワヒリ亭こゆうのレビュー・感想・評価

キリエのうた(2023年製作の映画)
3.9
アイナ・ジ・エンド主演っていうのが興味を唆り、観に行ってきました。
タイトルでも想像出来るとおり、アイナの唄がストーリーの主軸になってくる映画でした。
今更、僕が言う事ではないと思いますがアイナの唄が素晴らしいです。

映画として素晴らしい所は何といっても編集が素晴らしく、ストーリーの構成が良かったです。カメラアングルも面白くて岩井俊二監督の映画らしい作品だと思います。
2011年から2023年にかけて綴られるストーリー。
時系列に並べず、3つの時代から構成されています。
アイナの役はキリエと名前はアーティスト名でルカというのが本名なんですね。キリエというのは元は姉の名前なんです。
23年東京。路上で歌っているところにイッコ/マオリ(広瀬すず)と出会う所が映画の冒頭。
マオリとルカは帯広で高校生の頃の友人だった。
二人の再会から描かれます。

キリエとルカの13年3つの時代がどれも見応えがあります。
アイナも良かったけど僕は松村北斗さんの演技も良かった。
彼の役どころは僕は一番好感が持てた。
東日本大震災を描いているのが本作にとっても大きい出来事なんですね。キリエ(姉のキリエもアイナが演じてます)と恋人同士だった夏彦(松村北斗)
が東日本大震災でキリエを亡くした心境を黒木華に吐露するシーンが印象的でした。

凄く良い映画だったんですけど、少しダメな箇所もあります。
3つの時代を描き、尚且つアイナの唄で見せていく映画なので3時間弱にも及ぶ映画になっています。
僕としては好評価な映画なんですけど、ちょっと最後の30分くらい数シーンカットしても良かったと思います。
アイナの役が普通に喋れない、上手く声が出せない役なんです。でも歌は唄える。
彼女が何か表現しようとすると歌唱シーンになる。
唄が素晴らしいので観てられるんですけど、この辺りで終わったら良いなぁ。から30分くらい長かった。

それと広瀬すずさんの役・イッコが僕は気になりましたね。イッコはルカの面倒を見てあげるんですけど、イッコは優しい人なのか?物凄く僕は悪い奴なんだと思うんですけど、せめてルカには優しくあって欲しい。でも彼女のした選択は優しさじゃなくてズルくてルカをスケープゴートにした様な気もするんですよ。でも、映画は恐らくそれを狙ってないと思うんです。
役どころが凄く微妙でしたね。
逆に高校生時代のまおりの広瀬すずさんが素晴らしくて、ギャップが感じられました。時代は違くて北海道から東京に出てきて変わったという事なんだと思いますが、同一人物なので違和感がありました。