人類のしてきたことにマイナス☆100をつけたい。セルゲイ・ロズニツァ監督が編集した第二次大戦のドイツ対連合軍が互いに都市を空爆するドキュメンタリー。ナレーション無しに淡々と映し出される兵器製造から都市の破壊まで。<国>同士の戦いの記録ではなく、人類の滅亡への記録にみえる。
イギリス及び連合軍アメリカ、ドイツ各々の兵器工場での製造と士気高揚のシーン、飛行機に兵器を詰め込むシーン。
そして、一つの都市を全滅させるまで大量の爆弾が落とされる空からのシーンが続く。
こんなに長い時間、実戦を見たのは初めて。昼も夜も爆撃が続く。時々聞こえる空軍兵士の英語。明るい声で<Good job>。
ドイツのケルン市がまるごと無くなった。瓦礫の山と無惨に殺された市民の無数のご遺体に凍りつく。
この作品はてっきりドイツもまた膨大な被害を受けたことを表している作品だと思っていた。
次に現れるのは爆撃で廃墟となったイギリスの都市。互いに都市を全滅させあっていた。そして、どちらが、ではなく、どんどん人類が都市を破壊し、人類を滅亡させているようにしか見えなくなった。
どちらがよりたくさん被害を受けたか、ではない。しかし、東京大空襲もまたドキュメンタリーとして、ロズニツァ監督に作ってもらいたいと思ったのは正直な気持ち。
第二次世界大戦後に、二度と戦争をしなくなった国と、再び戦争をした国がある。この自然史はまだまだ続くのか。
人間は野蛮だ。