菩薩

破壊の自然史の菩薩のレビュー・感想・評価

破壊の自然史(2022年製作の映画)
3.9
戦争に於ける正義など結局は勝者による理屈でしかなくそこにあるものはただ徹底的な破壊に次ぐ破壊。この先にはその最たるものとしてのヒロシマ・ナガサキがあろうし、第一次大戦から現代に至る迄如何にして感覚が鈍化し、そこに確実にある死が瓦礫の中に埋もれていったかのその一端が垣間見える。驚かされるのはあそこまで徹底的に蹂躙されようとも生き残った人々は極自然に生活を再開し復興に着手しそれが今日まで続いていくこと。人間の底知れぬ繁栄力と言うかむしろ繁殖力と呼ぶべきか…それもまた感覚の鈍化と言えばそうなのだろうが、いつ滅亡してもおかしく無いサイクルの中にありながらも全くその気配を見せない人類とは一体…と複雑な心境になった。それでも聳え立つケルン大聖堂(?)。
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