shikibu

首のshikibuのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
3.7
面白かった。戦国時代の価値観を、暴力だけじゃなくて、男色の愛憎と絡めたのが新しかったし、たんなる物珍しさで描いてるだけじゃなくて、登場人物を動かす原動力として機能していたのが良かった。豊臣秀吉と、その一派だけが男色を理解できないっていうのも面白い。性交における絶頂と、首が切られることがイコールで描かれてるのかなと解釈した。
加瀬亮が素晴らしくて、信長って色んな側面でカリスマ性を持ってるけど、こういう色気を出すのは、新しいと思った。特に、能を見ながら、「この世の中の全員の首をここに並べたらさぞ気持ちいいんだろうな」と言うときの目の輝き、少年のように純粋でこんな目で見つめられたら、惚れてしまうなと思った。西島秀俊も、庭で関係ない人、銃で殺したり、しれっとサイコパス感だしてるのも良かった。遠藤憲一の目もよかったな。
ギャグシーンの虚しさや、エピソードが単発で連なっているのも、諸行無常な世界観ともとれた。
とはいえ、暴力描写に切れ味がなかったのは淋しい。この戦国時代の独自の解釈にアウトレイジばりの切れ味があったら、満点の映画だった。
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