きゅうりのきゅーたろう

絶唱浪曲ストーリーのきゅうりのきゅーたろうのレビュー・感想・評価

絶唱浪曲ストーリー(2023年製作の映画)
4.3
40代で浪曲界に飛び込んだ港家小そめと師匠の港家小柳、そして三味線の玉川祐子の3人を中心に浪曲界の今、そして承継を描いたドキュメンタリー。


浪曲は実際に見たことはなくて、渋谷らくごのPodcastで玉川大福の浪曲を聞いたことあるだけやったんですけど、それがとても面白かったので鑑賞しました。

こんなん泣くわ
粋 ってものを目の当たりし、まだまだ人のために頑張ろうって思う人たちがいることにいたく感動したし、また、芸能ってどうしても属人的なものなので、師匠から弟子へ受け継がれるものももちろんあるんですけど、やっぱりその人にしか出せない味ってものは当たり前ですけどあって、身体性のものなので年齢や状態によって失われてしまい二度と体験することはできなくなってしまいます。それの繰り返しが芸能の歴史なんやろうけど。
それが生々しく描かれていて重いと感じる部分もあるんですけど、小そめさんの敬愛に満ちた姿を見ることで希望は潰えていないことを思い知らされます。

浪曲の声は綺麗な声ばっかりでは飽きてしまうので、語る言葉の意味合いに応じて汚い声を出すと指導する玉川裕子さんの言葉が、綺麗すぎる今の世は生きにくいって語る小そめさんの言葉と重なってきて、少し自分の中での浪曲の解像度が上がったように感じた。

東京へはおいそれと中々行けないですが、木馬亭、末廣亭、渋谷らくごのユーロスペースへはぜひ足を運びたい。