ゆず

誘拐ラプソディーのゆずのレビュー・感想・評価

誘拐ラプソディー(2009年製作の映画)
3.2
町を見下ろせる高台の公園で、見頃を迎えた桜を前に、金ナシ、家ナシ、仕事ナシの何をやってもダメな主人公は思う。「死ぬにはもってこいの日だ」そんな人生どん詰まりの男の前に現れた育ちの良さそうな男の子。男の頭に浮かんだ黒い計画。誘拐して身代金をゲットして人生大逆転だ!ところが男の子の親御さんはあるステキなお仕事をなさっていて…。ダメ男と男の子の逃避行が始まる。
高橋克典主演のハートフルコメディ。まず高橋克典がこんな役もやるんだと驚きながら見た。本当にダメ男に徹していて、「ッホオォ!」とか叫んでる。男の子のパパ役で哀川翔(と書いたらだいたいお仕事分かりそうな感じだけど笑)。ちょっとだけお茶目な演技もアリ。そこへ船越英一郎がいつものサスペンスドラマのちょっとやんちゃな感じで絡んでくるという面白いキャスティングだった。YOUの頭のネジが抜けてる喋り方も良い。子役の子は、もちろん演技が上手く可愛いけれど可愛いすぎない所が、個人的には良かった。
男にとっては身代金をどうやって手に入れるかという問題と、男の子を連れてどう逃げ回るかという問題があって、中盤で片方に決着がつくも、もう一つの問題で最後まで引っ張っていく展開が、飽きないようになってるかな。そして男の子にとっては、特殊な家庭事情で迎えた反抗期にどう向かい合っていくかという問題があって。ダメ男も男の子もそれぞれ少しずつ成長する、まあ要するにハートフルなお話。登場人物もけっして多くはないし、誰もが予想するだろう所へ着地するけど、嫌いにはなれない映画だった。
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