ゆめちん

キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩のゆめちんのレビュー・感想・評価

4.5
キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩

"キャロル・オブ・ザ・ベル" は、ウクライナで "ジェドリック" というタイトルで歌い継がれている曲。昨今のロシアによる侵攻でウクライナの民族文化の象徴として再注目されているそうで、是非観て頂きたい1本。

1939年、ポーランド領スタニスワヴフ(現ウクライナ)。ユダヤ人一家が暮らす家に、ウクライナ人とポーランド人の一家が越してくる。当初はよそよそしかった彼らだが、ウクライナ人の母ソフィアが子供たちに行う歌のレッスンを通じて距離を縮めていく。
 
ロシア人が占領すればポーランド人が迫害され、ドイツ人が占領すればユダヤ人が迫害される。歴史的な背景を知らないと理解しづらいシーンが多いものの、それでも民族や国籍の違いによる対立の愚かさがスクリーンから明確に伝わってくる。
 
いつ戦争が終わるのか、いつ両親に会えるのか。全く見通せない "不安感" が、家に閉じ込められた子供たちの表情から滲み出ていて観ていて辛い。そんな子供たちを必死に守り抜こうとするソフィアの姿に胸を打たれる。
 
第二次世界大戦中の話ではあるが、昨今のロシアによるウクライナ侵攻が頭をよぎり、非常にタイムリーな作品で、歴史を通じて過去の悲劇から何を学んだのかと問い正したくなる。
劇中で度々出てくる "戦争はいつ終わるの?"という子供たちの問いに、しっかりと答えられる日が来るのだろうか?もう子供たちが悲しむ姿は2度と見たくない。
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