ごんす

ネクスト・ゴール・ウィンズのごんすのレビュー・感想・評価

4.0
サッカーW杯予選で史上最悪の31ー0のスコアでオーストラリアに大敗した米領サモア代表チームと結果が出せずにそこに飛ばされてきた監督トーマス・ロンゲンの実話を基にした映画。

ノーマークだったけど『ジョジョ・ラビット』のタイカ・ワイティティ監督の最新作と知り鑑賞。
ここまで笑って泣けるという言葉が似合う観賞後感の良い映画は久々に観た。

所謂負け犬達の映画だが挫折や心に傷を負った主人公が自分の知らない土地へ行き全く異なる価値観に触れ、そこをホームとし新しい“家族”を手に入れ再生へ向かうというのはよくある話。
あの気持ち悪い『ミッドサマー』ですら流れは同じではないか。
決定的に違うのが本作は洗脳めいたことをしてくる者がいなかったり被害者が出ないこと。
同じ再生でも相手との対話と尊重による再生の物語が本作の魅力。

引退していたが復帰する31ー0の敗戦でキーパーを務めた選手が印象的。
米領サモア代表最多出場選手で誰よりも敗北の味を知っている選手。
31失点していることばかり強調されてしまうが良いセービングも見せており別格な感じがよく分かる。
キャプテンマークを託すことになる選手と監督の絆もベタだけどずっと良かった。

この映画から発せられる“今いる所で幸せになれる”というメッセージは受け入れられない時や場所もあると思うし本当に大変な時はそんなこと考えられないかもしれないけど本作からはストレートに勇気をもらえる。
そういえば卒業シーズンだし新しい環境に身を置くことになる人なんかが観たら凄く良いんじゃないかなと思った。

米領サモア代表、調べてみたら確かに負けすぎだろとは思ったけどそれはサッカーの国際試合の公式記録に関しての話で実際の彼らは何者にも負けていないしそのままで良い。
監督が彼らを勝たせた部分も勿論あるが互いに幸せでいてほしいというメンタリティが勝利を生んだように思える。

『ジョジョ・ラビット』のヨーキーの様な相棒置きたくなるのは癖なのかな?

ストーリーテラーとして登場するタイカ・ワイティティの屈託のない感じも最高。
ごんす

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