にく

攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間のにくのレビュー・感想・評価

2.8
藤井道人『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』(23)。Netflixの総集編後半。神山健治による押井守もどきの観念の入れ子構造(今だ必殺ミザナビーム!)はもうどうでもいいのだが、主人公らがアフリカ系アメリカ人キャラクターを最後まで「おもしろ」と渾名し小馬鹿にし続けたことは見逃せないし許せない。
 総集編前半で草薙が彼(スタンダード)の記憶を消していた(書き換えていた)のも頂けない。それはAI開発の背後にあるのは所詮、白人至上主義だとするY・カッツの主張を想起させるし、「ファンタスティック・ビースト」シリーズにおいてなされる魔法族(の貴族・選民主義)によるマグルの記憶の操作(消去)にも繋がる所作だ。
 実写版『ゴースト・イン・ザ・シェル』(17)におけるホワイトウォッシュ問題もここに繋がってくる訳で、日本でそれが取沙汰されないのは、「日本人」が自分達を無意識裏に「白人」になぞらえているからに他ならない。草薙素子やシマムラタカシが背負わされている無自覚のナショナリズムに目を向けたい。
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