ドント

MAD CATSのドントのレビュー・感想・評価

MAD CATS(2023年製作の映画)
-
 2023年。 世紀末的かつ無国籍な世界でボロいトレーラーハウスに住む青年の元に、一本のカセットテープが届く。中には知らない少女の声で失踪した青年の兄のこと、そして謎のミッションが吹き込まれていた。 女性アクションアクター多数出演のバトル・ファンタジームービー。
 クラウドファンディングの返礼として昨年(2022年)に鑑賞しておりました。なので公開版とは観たモノが多少違うかもしれないのでその点はご容赦ください。
 自主制作の映画でありその辺は「まぁ、ね!」とさっぴいて観たんだけれども、クラファンや予告にて前面に押し出されている「女性アクション役者フェス」っぷりはだいぶ少な目。近未来/レトロフューチャー/ファンタジーな世界観や、 主人公の青年&ホームレスのおっさん&謎の少女、の道中がメインといった印象。 もちろん途中で敵襲、それに伴うアクションはあるけれど。
 で、この道中がとにかく長くてどうにも面白くない。男二人がとにかく弱く足を引っ張り ワーワーうるさく、敵が来ると目を閉じて 「ンーッ!」と叫びながら殴りかかるなどする。 言ってみれば旧来の「戦う男と守られる女」 を反転させて極端にしたようなものと考えてよい。しかしそれにしたって男衆がなんにもできなさすぎるのだ。 反転させたにしても男2人がうざったすぎる。ギャグにもなってないし。
 一方で青年が少女に惚れてドギマギしたり、 オッサンが焚き火の前で益体もないことを長々と喋ったり、ケンカしたりする。 そうか、そういう映画か。でもわしはな、女衆がモリモリ動いたりポーズをビシッとキメたりして 「かッ、かっこいい~ッッ!」となりたかったんや。
 で、男女がひっくり返されて、特別な設定ある にしても、絢寧以外の女優は台詞が一言もないの である。これはなんというかこう、どうかと思う。女があらかた 「人外」で喋らねぇ、ってェのはさ。人間役のレストランの店員はああ言う感じだし、あとソードブンブンガール(超つよそうなのにブンブンするだけ)とか、動けない女優陣の扱いとかも、ストロングガールムービーの形をこさえつつも魂が入ってないって感じで。 うん。
 ほんでもって肝心のアクション、動きはみんな クールでシャンシャンにいいってぇのに撮影がも うひとつで(ただしこれは邦画アクション全般に言える)喰い足りなさが残る。そうなってくると上記の道中とか、ポエジーな映像とか、えらくリッチなロケーションとかムカデが靴を履く小話とか設定 とか、あらかたのものに 「ムッ……」 となっていき、最終的な感想としては 「ムッ……」 に落ち着いてしまった。
 クラファンで応援したというのはこの際評価にはまるで関係ない。 様々を作り込む余裕があるのならメインの部分(道中やアクション)を練り込んでもらいたい。 映画は辻褄より迫力ですよ。 エジプト神話に寄せたりしてる場合ではない。
 これでラストバトルがイカしてたら終わりよければすべてよしだったろうが、1対2の戦い、 動きはやはりベリーナイスだってぇのに何故か部屋がスーッと薄暗くなる。 さっきまで明るかったのに。オシャレ演出よね。いや、見せてくださいよ明るい場所で凄いムーヴを。
 どうも全体にひとりよがりな、まぁ自主制作なのでひとりよがりでもいいんですけれど、これでいいのかなぁ、と悩ましい。 わしゃあもっと尖ってて面白いものを期待してたよ。 ちょっとさみしいわよ。 繰り返すが動く女優陣と、 あと音楽と音響はとてもよかった。全体の出来はさておき、これきっかけで動ける女優さんにアクションの仕事がモリモリ増えたらいいな、増えてくれよ、と祈っております。
ドント

ドント