土平木艮

過去負う者の土平木艮のレビュー・感想・評価

過去負う者(2023年製作の映画)
5.0
●観ようかな?どうしようかな?とチョット迷った作品。結果的に『観て良かった』。

●刑務所から出所してきた元犯罪者と、彼らを支援する人たちを中心にした『ドキュメンタリー風のフィクション』映画。

●監督が役の設定を決めて、あとは台本無しで『元犯罪者・支援者・犯罪被害者・演劇を観に来た観客=第三者』を演じる役者に『役になり切ってもらって』アドリブで演じてもらって、撮影する…って言う手法で撮られている作品。迫力がスゴい。

●簡単には感想をまとめられない。

●観る人それぞれで感想は全く異なると思う。どんな映画でもそうなんだろうけど、この映画を観た後に感想を話し合ったりすると、結構シリアスに揉めたりするかも知れない。作品内の『演劇を観に来た観客。演じた元犯罪者。支援者』達のように。

●どの役の気持ちも分かるようであるし、分からないようでもある。

●元犯罪者が逆ギレするのは不愉快でしかない。
●第三者が『元犯罪者が近くにいると思うと怖い』と言うのは、『色眼鏡で見るのは良くない』と思いつつも、その気持ちは良く分かる。
●犯罪被害者が『本当に反省してるのか?』と怒るのも…自分は犯罪被害者になったこと無いので100%分かるとは言えないけど…理解は出来る。
●支援者が、元犯罪者の素行に振り回されて『信じられない』と言い出すのも分かる。支援者同士の意見の食い違いで揉めるのも仕方ない気もする。

●もう観てる間中、ため息吐きっぱなし。ラスト30分とか、『モキュメンタリー』映画と分かってても、ずっといたたまれない気持ち。

●とりあえず思ったのは『日本の刑務所が"懲罰思考"であるのが、まず問題』だというコト。罪を償うのは当然だと思うけど、同時に『罪を償った後』のコトまで考えないと再犯率の低下は難しいと思う。

●服役した経験は無いので、どうしても『支援者・犯罪被害者・第三者』側として観てしまうけど、私だっていつ犯罪者になるかは分からない(交通事故起こしてしまう可能性は充分にある)。そうなった時に、どう思うのか…。

●まずは観て、色々と考えてもらいたい。でも、上映館が少な過ぎるのが残念。

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●作中で元犯罪者を中心に、色んな人の言動で気になる共通点がちょいちょい有った。その度に心の中で、先日観た『ロッキー5』の名言を思い出してた。
【人を指差し、自分の弱さをそいつらのせいにするな!それは卑怯者のやるコトだ!】
土平木艮

土平木艮