アンソニー・ウォンは同じく香港の移民問題を描いた「凋落の人」にも主演していたけどそちらの方がなんかよかったなあ。本作ではなんか詰めが甘い。ハッサンがカナダに着いた時出入国管理事務所はどのように対処するのだろう。両親のいない就学児ということでとりあえずは入国させるのだろうか。あるいはパキスタンに強制送還となるのだろうか。母親とともにパキスタンに強制送還されるよりは幸せになれる可能性があるということなのだろうか。ハッサンと出会う前の彼の振舞いから考えると、ハッサンへの行動はすべて自分のこれまでの行いに対するつけ払い的な意味合いなんじゃなかろうか。そうであれば自身の老後資金の半分を持たせた意味も理解できるかな。中国映画界から締め出しを受け海外移住も検討中と言われているアンソニー・ウォンの心情とちょっと重なっていた気もした。
