りりー

僕らの千年と君が死ぬまでの30日間のりりーのネタバレレビュー・内容・結末

4.4

このレビューはネタバレを含みます

#僕らの千年プロジェクト を全て楽しもうと、漫画、舞台、映画、全て拝見した。
草介は舞台では人と関わらない方が心の痛みも感じなくて済む、その方が気楽だ、と言っていたのに、段々と人としての感情を持つようになって舞台は終わった。そして映画を観た。

大正時代に自殺に失敗して100年も眠って記憶を失ったが、その間、光蔭の心の温かい「光」の部分が草介に当たっていた事を今になって気づき、草介は見捨てられなくてよかったと思った。ただ何故そこまでするのか。
全体を通して笑顔も少なく冷たい人のように映る光蔭が、草介と舞と3人で撮った写真を見る時にだけ少し笑みを浮かべていた。最後に草介を失いたくない理由を涙を流しながら独白する場面は胸が苦しかった。誰にとっても永遠の孤独なんてあってはいけない。人間、やっぱり1人ぼっちで生きるのは辛い。光蔭の生い立ちを漫画や舞台を通して知っていたから、余計に彼の苦しみを感じて涙が出た。

舞も、草介に対して自分に魂が戻ったとしても「あなたがいなければ意味がない」と言いながら亡くなっていく。誰しも、誰かとなにかしらの関係を持って生きていく方が幸せなんだ、と思わせる。草介が最後に辛いなぁ、と唸り声をあげる迫真の演技に思わず涙を流さずにはいられない。本当に切ないけれど、ある意味温かいエンディングだった。そしてエンドロールの「心つないで」がそのメッセージをより強調してくれる。

BLや恋愛という括りではなく、『人と関わりを持つ意味』というもっと大きなテーマの映画。
丁寧に作られているので漫画も併せて何度も味わいたい。

ちょっとグロテスクでホラーな映像が数秒あるが、なかったらもっと誰にでも勧めやすいかもしれない。
りりー

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