ドント

ミンナのウタのドントのレビュー・感想・評価

ミンナのウタ(2023年製作の映画)
-
 2023年。もったいないな! もったいないですよこれは!! 人気グループGENERATIONSの小森隼はラジオの収録前、倉庫を整理しているスタッフと出会い偶然、古びた封筒を発見。中には一本のカセットテープが。そこからメンバーを巻き込んでの亡霊&神隠し&怪奇現象ライブが開幕する。
 GENERATIONS(説明しておくとEXILEをヘッドに据えた会社LDHの次世代を担うダンス&ボーカルグループである)の面々が本人役で登場しており、こう書くと「あぁそういうヤツね。アイドルの。ふふん」と思われるかもしれない。実際まぁライブ映像とか曲とかもフィーチャーされてて「アイドル映画」の側面は確実にある。とは言え流れている曲の歌詞がカラオケ字幕的に下に出るシーンは相当に興を削がれたので、なんかやりすぎだと思う。
 しかしながら演技経験豊富な人もそうでない人も、メンバーは皆イイ顔をしているし、パフォーマーゆえか演技も上手い。「素」ではなしにちゃんとナチュラルなアクトをしている。なので関口メンディーが怯えるたびに「マジ」すぎてちょっと笑ってしまう。いちばんデカいメンディーが「オワァ!」とか言ってひっくり返ったらね、怖いを通り越して面白くなっちゃうんですよ。
 キャストの好演はさておき肝心の内容であるが、怖いか怖くないかと言われるとあんまり怖くない。しかし当方怖いのをたくさんキメている中毒者なので、もしかすると数回「おっ! いいですね!」「グッドですよ!」などと頷いたシーンが一般的に言う「怖いシーン」だったかもしれない。スタジオの机の下とか(中務が冷静なのがまたいい)、自販機とか、怖くはないけど禍々しいシャワールームとか、あと死体を見せないあたりがナイス。たぶん、怖いのではないだろうか。
 しかし繰り返すがほとんど怖くなくて、なんだか観たことあるような恐怖場面が多い。布団の中の顔とか清水崇のセルフオマージュですね。名前もアレだし。いや恐怖の味なんて似たようなもんなんだけどそこはホラ、見せ方で何とかしてほしいわけで、新しさはあんまりなかったかなぁと思うのである。
 あと終盤が尻すぼみというか強引でションボリした。やっぱりヤバい家があるなら上がらないと! ジェネの3人くらいが家ん中を探索中に一人ずつ消えていったりしないと! 最初に消えた小森の顔が奥の部屋に浮かんでて白濱が走り寄るとフーッと消えて女の腕が掴みかかってくるとか、そういうオバケ屋敷が見たいわけですよ!
 そんなわけで割と前代未聞の試みであるこのホラー映画、このくらいやるんだったら探偵のマキタスポーツなしにやるくらいの冒険をしてほしかった。挑戦と無難さが半端に混ざっている。もったいないな! というのはつまりそういう意味合いなのであった。ところでメンバー、これ7人いるんですよ。序盤の紹介でも7人いるんだ。でもね……映画本編……ひとり足りないんだぁ……これが一番の怪異でしたね……何があったんでしょうね……
ドント

ドント