なまくらウォッチメン

夜明けのすべてのなまくらウォッチメンのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.1
異なる生理的な苦しみによる生きづらさを抱える二人の人生が緩やかに交差し、そして離れていくまでの話
共感ベースというよりは体験ベースの構造で、対話による相互コミュニケーションでなく相手の立場や習慣から相互理解を始めていくのが、アクション的な画としても良かった

省略が強く行間を読ませる作りだが、かと言って説明不足ではなく、寧ろ台詞に頼らない動作による心情描写が非常に巧み

帰宅時に玄関先で呼び止められる

会話が終わっていないにも関わらず、途中で家の鍵を鍵置き場に置く

等、台詞が無くとも人物の心情的なグラデーションが分かるようになっている

あとは、相互セラピー的な話ではあるが、安易に救いを提示するような帰結ではないのも良かった
栗田科学に関してはユートピアではなく、あくまでヘイブンとして描いてるように思い、ギリギリ現実離れしていない設定に落ち着いてるかなと