月経のタイミングでイライラが爆発するPMSを患う女性で、新卒入社の会社を辞職して現在は移動式プラネタリウムを扱う小さな会社で周囲の理解を得て働く藤沢美紗。大手から転職してやる気の感じられない若手社員の山添がパニック症候群を患うことを知った彼女が、各々の病状を打ち明けることで互いに支え合う様を描くドラマ映画です。
『きみの鳥はうたえる』『ケイコ 目を澄ませて』で評価を高めた三宅唱が『そして、バトンは渡された』で本屋大賞受賞の人気作家・瀬尾まいこが自身も患うPMSをパニック症候群やグリーフワークと共に描いた小説を映画化した作品で、連続テレビ小説以来の共演となる上白石萌音と松村北斗を中心にした優しい物語が観客の心を掴みました。
優しくされるのはとてもありがいたのだけれども、やっぱりそればかりって辛いものです。そんな時、人に優しくすると足元のふらつきが抑えられる事があります。そんな小さくとも大切なテーマを大仰にしない作劇で真摯に表し、色彩に陰影や静動を捉えるカメラワークが登場人物の感情の機微を際立たせます。実直で美しい人間ドラマです。
