社会のダストダス

ブギーマンの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

ブギーマン(2023年製作の映画)
4.0
やっぱり、こういうのが好き。個人的にはかなり推したい。

少し前に観たホラー『ミンナのウタ』はかなり面白かったけど、個人的な嗜好でいえば、若くて可愛い女子が悲鳴を上げながら逃げ回るクラシックでゲスなホラーのほうが好きなので、これはまさに私のために用意されたような映画だった。何度も擦られたような内容でも、その時代の俳優や演出で作られることに意味はあると思う。

スティーヴン・キングが原作、そうでも無かったら日本では劇場公開されずに配信待ちだったんじゃないかというくらいにはこじんまりとした作品。実際本国ではストリーミング配信用に作られたけど、試写会の反応がかなり良かったために劇場公開されたということらしい。画面が真っ暗なシーンが多く急に音がデカくなるシーンもあるので、そもそも家のテレビで観るのはあまり没入感がない気もするが。

最近本物の○○が活躍する映画というのが多い気がする。
本物のサンタが悪人を血祭りにあげる映画。
本物のプーさんが闇堕ちする映画。
本物のニコラス・ケイジが犯罪組織に潜入する映画。
本作は本物のブギーマンが子供を襲いに来る映画。本物の○○って、思いつく限り物騒な映画しかありませんでした。

本作に出ている俳優で唯一存じていたセイディ役の子が好み。最近ちまちま観始めているドラマ『イエロージャケッツ』などに出ている子。目力があり横顔がアニャ・テイラー=ジョイにも似ている、つまり可愛い。お名前がソフィ・サッチャーだったり、ソフィー・タッチャーだったりとカタカナの表記ゆれが見られる。今後の呼び方がさっちゃんになるか、たっちゃんになるかで大きな違いが生じるので統一してほしい。登場人物を絞ってほぼセイディの視点にしたのも良かったと思う。

暗闇の中でしかブギーマンが現れないという設定は『ライトオフ』にも似ているけど、そちらとは怪物の設定が全く異なるので差別化は出来ている。ブギーマンのデザインは『ストレンジャー・シングス』のスタッフが関わっているということもあってか、デモゴルゴンの出来損ないみたいな少し残念なルックスなのも愛おしい。終盤まで外観が判然としないので、暗闇に浮かぶ(・―・)みたいなシルエットは少し可愛かった。

明確な不満点は主人公の意地悪な女友達がブギーマンに八つ裂きにされるシーンが無かったことくらい。主人公の家に招いた時点で生かして帰す気はないだろうと期待したのだが、そんなところだけ予定調和を崩さなくていいのに。

セイディ役のさっちゃん(たっちゃん)は『イエロージャケッツ』での存在感も素晴らしいので、今後ブレイクしそうな気がする。