すえ

マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間のすえのレビュー・感想・評価

-
記録

どんな劇映画よりも簡単に、無惨に人が死んでゆく。

嘘か誠かも判断し難い報道で、知った気になっていたが実際は何も知らないし、今作を観たとて全てを知ったわけでもない。戦時下の一部を見ただけであり、また映画は到底現実になり得ないため、やはり何も知らないという状況は変わらない。遠く離れた異国で、(無意識のうちに)他人事だと思っている我々が、この出来事を完全に知れるはずがないだろう。誰かがこの惨状を経験するところを見ているだけであり、到底その絶望を経験することはできない。

自分自身この惨禍の始まりが2年前だとすっかり忘れていた。戦争は日常に染まり、ニュースもつまらない出来事を垂れ流すだけ。誰が本当に救いたいと思っているのだろうか、結局は他人事であるという共通認識に侵されている。だが実際他人事であるという事実は変わらないことも分かっているし、全てを知ることができないことも分かっている。それでも、知ろうとしないことはやはり違うと言いたい。現状を完全に知ることができなくとも、この事実を認めることは必要だと思う。

そして強く主張したいのは、これは戦争ではなく侵略であるということ。それを忘れてはいけない。

2024,119本目(劇場38本目)5/7 TOHOシネマズなんば別館
すえ

すえ