MINAMI

ソウルメイトのMINAMIのレビュー・感想・評価

ソウルメイト(2023年製作の映画)
4.0
 オリジナル版は中国・香港の映画で、この作品は、韓国で作られたリメイク版である。私は先にオリジナル版のほうを観た。
 オリジナル版がものすごくよかったので、リメイク版に期待が膨らむ一方で、どんなふうになっているのだろうという不安もあった。
 実は、観始めて最初は、オリジナル版の方がいいかなと思ったりもした。しかし、後半はもう泣きっぱなしだった。
 ストーリーはわかっていても、演じる人が違えば、異なる人の人生なんだと、改めた思った。おそらく、俳優がすばらしかったからだと思う。そういのが映画というものなのだなと改めた思った。

●オリジナル版とリメイク版を比べてみると
 オリジナル版もリメイク版も、大きな流れは同じである。女性二人の「大親友」が、出会い、共に過ごし、離れ離れになり、そしてまた出会い……という物語である。二人の名は、オリジナル版では「七月と安生」、リメイク版では「ハウンとミソ」である。
 全体として感じたことは、オリジナル版とリメイク版で大きくは変わらなかった。オリジナル版について、先にレビューを書いているので、ぜひご覧いただきたい。


●強烈な意志/どうしようもない切なさ
 ただ、ところどころ設定などを変えているところもある。
 印象的なのは、私がオリジナル版で一番好きだったセリフが別のセリフになっていたことだ。
 ハウン(七月)に恋人ができたとき、ミソ(安生)もその恋人のことを好きになってしまう。ミソ(安生)は、ハウン(七月)の元を去る選択をする。そして二人は離ればなれになる。
 再会したのは、自分の恋人を奪われてしまったと思い込んだハウン(七月)が、ミソ(安生)を罵倒するつらい場面となる。
 そこで、罵られたミソ(安生)が言うセリフが、オリジナル版とリメイク版では違うのだ。オリジナル版の安生は、「わたしは恋人よりあんたを選ぶ!」だった。ものすごくストレートなセリフだ。恋人よりも親友を選ぶという強烈な意志が放たれていた。
 それに代わるリメイク版のセリフは、「どうしてこうなってしまうの?」だった。自分の思いが通じない、いや、通じているのに行動としては違う形になってしまう。その無情さを嘆く、本当に切ないセリフだ。
 どちらもこの場面がクライマックスだと言ってもいいと私は思う(ドラマとしてはまだまだドラマチックな展開が続くけれども)。
 ただ、オリジナル版の「強烈な意志」とリメイク版の「どうしようもない切なさ」というように、違った表現で映し出される。まるで違う場面であるかのように。
 リメイク版のほうが全体に優しくて甘い感じなのかもしれない。でもどっちも大好きだ。

●二人がハグをするたびに
 2人は思い合いながらも、離れてしまう。しかし、やはりお互いに欠かせない大切な人だと改めて痛感する。そんなことを何度か繰り返す。そんなとき、二人がハグをするシーンが何度かある。離れかけた、二人が近づいて抱き合う。そのたびにジーンとなる。
 ハグって、日本人ではめったにすることはないけれど、抑えきれない感情を抑えながら発するぎりぎりの行為だなという気がした。素敵だなと思う。

●ソウルメイトか…
 「好き」「愛してる」「想ってる」「大事」……どの言葉でも表現しきれない二人のつながりを、なんと呼べばよいのだろう。
 二人の関係をなんと表現すればいいのだろう。もちろん「家族」でも「恋人」でもない。「親友」に近いけれども、それでは収まりきらない、もっと深くて離れがたいつながりであるような気がする。
 答えはわからない……。 いや、それが「ソウルメイト」なのか。
 ソウルメイトをもつことはとても難しいことだと思う。また、もし持てたとしても、ソウルメイトとしての関係を保って生き続けていくことは難しいものだと思う。
 それでも、ソウルメイトは、いるだけで人間の一生を救いきるほどの存在である。それさえあれば他には何もいらないと思えるような存在である。
 自分にもソウルメイトがいたらいいなと強く思った。
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