わずか106分を贅沢に使った情感あふるる1本。男達の繊細さと優しさに泣かされた。目だけで心情と年月を表現するユ・テオの才能。祖国という“前世”を持った移民のアイデンティティの物語であり、愛しい人の過去を知った人物の登場に感動するジョン・マガロは逸品。
恋愛は両者が同じ時間軸を生きているかどうかが重要で、実は早々に2人は交錯しない人生を歩み始めている。ロマンス映画というより、人の縁(えにし)の物語。人が出会うことの奇跡。中年になってわかるけど、例え苦しくても強く誰かを想える出会いはそう幾つもないよ。