たくちゃ

コット、はじまりの夏のたくちゃのレビュー・感想・評価

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
4.1
木々の緑や空の青さがきれいで、流れる音楽が心地よくて、このままの時間が続けばいいのにという気持ちになりました。

冒頭は観ていてつらかったです。
ミルクを溢されてしまったことを誰にも言えず、ただぎゅっと隠すように服を握る。
あの数分のシーンだけで、コットには家庭や学校に居場所がなかったのだと痛感させられました。

除け者にされるように連れられた親戚の家で、コットはただの客人としてではなく、仕事が与えられる。掃除機がけや芋の皮剥き、郵便物の受け取り。
実家では存在がまるでないような扱いだったけど、役割があったからこそ、コットもここに居ていいのだと思えたのかもしれません。

アイリンの優しさの根本的なところも、ショーンのコットへの接し方も、すべてわかったうえで一緒にいることが自然になっていく過程が本当に美しかった。
特に実の家族とは違って、コットの姿が見えなくなるとアイリンもショーンも必死になって探してくれる。もちろんそれには深い事情があるけど、9歳の子どもにとっては愛情以外の何でもないように思います。

ストーリー自体はある程度予想していたのですが、それでもコットが人の温かさに触れていく様子と、駆け出すシーンに涙が止まりませんでした。

余談です…
日本の夏はジメジメしていますが、アイルランドって涼しいんでしょうね
みんな割としっかりした服を着ているから、「夏」だということを忘れそうでした笑
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