カムイ

スペースマンのカムイのネタバレレビュー・内容・結末

スペースマン(2024年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

哲学的雰囲気SF
この場合のSFはScience FictionじゃなくてSpace Fantasyの方です

ある日突然宇宙に現れた紫色の雲の謎に迫るため、木星の向こうを目指して人類(というかチェコ)の期待を一身に背負って飛び立った偉大なスペースマンの男が抱える孤独。
それに寄り添うのは地球で今まさに彼を見捨てつつある身重の妻ではなく、いつのまにか宇宙船に侵入してきた蜘蛛型宇宙生物だった…という話。

ハヌーシュと名付けられた宇宙蜘蛛は知的好奇心でもって主人公の記憶や感情を探り見せつけることによって彼の抱えている問題を明らかにしていく。そして主人公はようやく奥さんに捨てられそうになったのは自分のせいだと反省する。奥さんから遠く離れた太陽系の彼方で。

なるほどこれは他の方もレビューしている通り惑星ソラリスの系譜…!

ハヌーシュは可愛かったしチョブラの雲の描写は壮大で美麗だった。

個人的には父の犯した罪を赦せず代償のように自らに苦行を科す主人公(具体的に言うと流産した奥さんの悲しみに寄り添うこともせず宇宙飛行士の訓練に明け暮れて帰宅しようともしなかった主人公)に対してせせら笑うようにハヌーシュが告げた「それが招く苦しみに何か価値があるのか?」という皮肉たっぷりのセリフが心に刺さった。

あと宇宙空間に取り残された主人公が、チェコがライバル視していた韓国の宇宙船に救助されたのは胸熱だったね!

叙情SFや哲学SFが好きな人向けだと思います。ソラリスやインターステラーが好きな人に。
カムイ

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