アンダーカレント
“人を分かるってどういうことですか？”
かなえは家業の銭湯を継いで、夫・悟と順風満帆な日々を送っていたが、悟が突然失踪してしまう。かなえは途方に暮れるが、一時的に休業していた銭湯を再開させる。それから数日後、人手が足りずに銭湯組合の紹介で堀という男を雇う。
原作の漫画は未読で鑑賞。今泉監督のこれまでの作品とは少し雰囲気が異なる印象だが、それでも少なめな台詞や間の取り方など、"らしさ"
も随所に感じられる。
人は気づかないうちに自分の本心を見せないで生きている。そんな中で "相手を理解すること" "自分を知ること" の難しさを改めて実感させてくれる作品だった。特に "泥鰌" の話はそのことを上手く暗示していたと思う。
過去のトラウマに縛られるかなえ、逃れられない過去と訣別しようともがき苦しむ堀、駄目な自分と向き合う悟。真木よう子、井浦新、永山瑛太が、それぞれの持ち味を発揮し、魅力たっぷりに演じているし、リリー・フランキーの "アナログ" とはまた一味違うスパイスが作品に深みを与えていた。
