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ザ・キラーのAPlaceInTheSunのレビュー・感想・評価

ザ・キラー(2023年製作の映画)
4.4

◆イオンシネマって普段行かないのだけど、本作はNetflix制作・配信作品で賞レース対策として申し訳程度に短期間劇場公開してるらしく何故か関西ではイオンシネマが独占上映してた。
平日の16:00頃のイオンシネマの客席は、3組・4人だけ。
◆デビット・フィンチャーにしては(ファイト・クラブやソーシャルネットワークに比べれば)小さな物語だった。世界中を飛び回ってはいたが個人の仕事、失敗、後悔、落とし前。個人の話し。
◆自分の信念を貫き、ストイックに用心深く、目立たぬように日々を暮らす。今春公開されたポール・シュレイダー「カード・カウンター」の主人公にも共通するものがあったけど、なんだか村家春樹の小説に登場しそうな人物造形だなぁとも感じた。
◆ヒットマンの服装といえば目立たぬよう黒ベースという定番を外してくるオフホワイトを重ね着したリゾート/サファリルックっぽくもあるコーディネートが、カッコ良すぎて痺れた。
マイケル・ファスベンダーに魅力を堪能する映画。
フィンチャー1流のこだわり抜いたスタイリッシュな画作り。なだけでなくオトボケな面も。
◆珍しく(ファイト・クラブは別として)格闘アクションシーンを盛り込み、嬉しい驚きでアガったり、え?ジャッキーチェンか?というユーモアを挟み込む抜け感もあり。
◆暗殺が仕事である殺し屋ゆえ、行動の痕跡を残さないのが鉄則とはいえ、何度も何度も、使用した物を捨て去るシーンが反復される。そのし所作がカッコいいだけでなく、特にスマホを路上に捨て、踏みつけて破壊するシーンには作り手の批評性を感じる。
◆必要なモノは即座にAmazonで調達したり、自分の平常心をスマートウォッチの心拍数で計測する辺りは、現代の【殺し屋・お仕事映画】でもあり。
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