こぅ

グランド・セントラル駅殺人事件のこぅのレビュー・感想・評価

4.5
「現実的な動機を考えろ
怒り、妬み、復讐、欲、嫉妬、憎しみ」

'23 1/6作品登録していただきました。

S・シルヴァン・サイモン監督による、
【フーダニット(Who done it)】=[やったのは誰]だから、 伏線なんか無い荒技 で、犯人を読む(当てる)んじゃ無く、流れのままを楽しむミステリー作品であろう。


グランド・セントラル駅で、舞台女優の殺人事件が発生。
警察が、おしどり探偵夫婦と一緒に、集められた容疑者たちの証言を聞きながら犯人探しをする…。


列車で護送中に逃亡したターク(ホレス・マクナリー)、
タークが脅迫する元恋人で舞台女優、ミッダ・キング(パトリシア・デイン*)が客車で殺される。
死体発見者は、ミッダの婚約者、デイヴィッド、(マーク・ダニエルズ)とデイヴィッドの元婚約者、コニー(セシリア・パーカー)、
タークが雇った探偵、ロッキー・カスター(ヴァン・ヘフリン*)と妻、(ヴァージニア・グレイ)、
現場近くにいた駅職員で、ミッダの元旦那、ラインハート、
ミッダの継父、ラモン(ロマン・ボーネン)と使用人、パール・デルロイ(コニー・ギルクリスト)とその娘で、ミッダの代役を頼まれた舞台女優、ベイビー・デルロイ(ベティ・ウェルズ)、
劇場経営者、フランキー(トム・コンウェイ)、
鉄道会社取締役、ロジャー・ファーネス(サミュエル・S・ハインズ)と過去にデイヴィッドと婚約していた娘、コニー。

一同に集められる容疑者(取調べ中に1人また◯◯)、

自作人物相関図が必要だ‼︎

事件を指揮するのは、ガンサー警視正(サム・レヴァイン)。
その警視正が、ストローで飲む空瓶の数のショットで、時間の経過を表現している。

タイトルや尺から サクッとシンプル なサスペンスを期待していたが、良い意味で裏切られた‼︎

テンポ上々、
意地悪に ギリギリ最後 まで犯人が分からない、中々 上級上質濃密 に練られた脚本。
ミッダの死因(殺害方法)が、中々判明しない、明かされずに進行するのも味噌。

兎に角、容疑者が多数、ミッダの掘り下げ回想(時間軸)と人物絡みが入り組むが、この手は、真相に迫る終盤迄は殆どが撹乱、捨て駒(ミスド)になる宿命で、ポイント(名前など)を押さえておかないと、ラストの解決編で、犯人が判明しても、あんた誰⁈で、どんな関係性だったっけ⁈と迷子になって再見(プレイバック)する羽目になるだろう。

クライマックス、
全員客車に移動して解決編を先導する◯◯までも怪しまれ、終盤疑われたりもするツイストもイヤらしい。

その解決編先導◯◯は、
刑事コロンボ、古畑任三郎(本作のが始祖だが)のように実験、実践しながら犯人を導き出すのがミステリーとして見どころ。

犯人に迫って思わず◯◯させるのだ。

一体誰⁈その終盤の 焦ったい詰め は、緊迫した。

犯人の皮肉な最後、、


締めは、本当の意味で明るい。

これは、舞台劇にしても絶対面白い‼︎


冒頭から計算された撮影、キレがあった。
人物のズーム、シークエンスの繋ぎも、陰影も素晴らしい‼︎


*注記
*パトリシア・デイン、ヴァージニア・グレイを始め、出演するアクトレスが奇跡的オール美人だった。


*ヴァン・ヘフリンが、最近観たアル中役とは別人、探偵役でシャキッとしていた。
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