このレビューはネタバレを含みます
「十年と永遠」
あらゆる境界が滲んだ世界に、永遠を見つける。
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喪失とどう向き合うか。
これまでの10年間を抱えた先生と、10年後を恐る恐るも瑞々しく眼差す生徒の交差によって開けゆくもの。
見えるものと見えないもの、
あらゆる境界が滲んだ世界で見つけた、永遠のかたち。
観ているあいだ、私の中にもある、未だ捉われているものの姿が幾重にも立ち現れることに気がついた。
それでも尚、ここにある今を生きていくことを応援してくれるような大切な一作になった。
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飛べない時代の若者たちのささやかな翼として、スケボーが出てくるところがまたよかった。
分からないものを、分からないまま分かり得ようとすること。
世界の狭間にある、確かなものに手を伸ばそうとする営みとして、詩が映し出されるところも良く、励まされるような気持ちになった。