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シティーハンターのLEOのレビュー・感想・評価

シティーハンター(2024年製作の映画)
3.4
強度の向精神作用を持つ合成麻薬「エンジェル・ダスト」を摂取したと思われる者たちによる事件が新宿界隈で続発、その事件を追う槇村秀幸も殺された。
槇村秀幸とバディを組むシティーハンターこと冴羽獠は、復讐のため牧村の妹 香と敵対組織「ユニオン・テオーペ」に戦いを挑む…という話。

観終わった感想は…
フランス版のように過度にギャグ寄りにして原作に近づける事もなく、コメディとシリアスのバランスをうまく混ぜ込んだうえに小道具やキャラクターによって随所に忍ばせ上手く原作のテイストを再現していたと思う。

さりげなく流れるニュース音声に、アニメの冴羽獠を演じる神谷明さんを使っているのも憎い♪

冴羽獠を演じる鈴木亮平のアクションもこなれていてかっこよく『ジェイソン・ボーン』シリーズ並みの動きを見せている。
正直、今までフランス版が最高の実写化だと思っていたが、これこそ理想的な実写化だと思った。

ただ他のキャラや設定のツッコミ所がありすぎて…。
まず香が全然違う。
原作では一本気な芯の強い女だが、今作では単にイキッた邪魔しいの女。
「守るから!」なんて言いながら、何も考えずに猪突猛進してやることなすこ全て台無しにする。
獠が怪我して「私のせいだよね…」と言い出すシーンには、「当たり前だわ!」と突っ込みを入れたくなった。
ボーイッシュだけど実はスタイル抜群ってのもないしね。

オリジナルキャラのミルクもなんだかよくわからなかった。
そもそも、どういう人間で何故逃げ回っているのかも殆どなく、折角見つけた友達が狂ったうえに目の前で殺されたのに特に何も無し。
普通にトーヨコでたむろしてるヤベー奴かと思ったけど、それも違うらしい。

あと冴子は一見クールに見えながら熱い部分もあって警察としての誇りもあり、その色気で獠も手玉に取るしたたかな女だが、今作では警察に居る知り合い程度の存在。
組織の中での杉本哲太との上下関係もイマイチはっきりせず、存在感も「なんだかなぁ」って感じ。
まぁ、これは自分が木村文乃をあまり好きじゃないことと、今回は杉本哲太をはじめ警察が無能過ぎだから感じる部分かも知れないんで、次回作があることを期待したい。

さらにはユニオン・テオーぺが、イマイチ大物黒幕組織になりきれずに終わってた気がする。
メンバーの首に爆弾仕込んで用済みならボンッ!とういう恐ろしい組織で、さんざん人体実験をして人を殺しまくって薬を開発していたのに、開発ベースを獠達にメチャクチャにされ更にはそのデータも手に入れられなかったのにアッサリ撤退。
「取り敢えずやべー組織感を出しとこ」みたいな印象が否めない。

つまり、槇村を除いてサブキャラの印象が非常に薄く、特に敵となるキャラクターは極めて凡庸だったというのが素直な印象だ。

あとビックリしたというか残念というか…、今回のエンディングに使われたのは「“Get Wild”新録音版」というものだそうだが、聞いた時は「なんだよこの弱々しい声、誰がカバーしてるんだよ!?」と思ったのだが本家TM NETWORKが歌ってるとは!
宇都宮さんももうすぐ70だもんなぁ。
いつまでもお元気でいてほしいものです。

とまぁイロイロ文句は書き連ねましたが、原作を愛しているという事で。
次回作に期待です。
…次回作あるのかな?
いやあるだろう、あの終わり方なら。
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