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君たちはどう生きるかのKEiGOのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ジブリがいっぱい
まさにこの言葉がふさわしい作品でした。正直もっと何度も何度も観ないと「ここのシーンがあの作品に似てる!」みたいなディテールの話はできないので、ざっくりの感想に留めておきたいと思います。
作品冒頭、戦火に飲まれ眞人は実母を失います。「あぁ、宮崎駿はまだ母を探してるんだ…」と言葉を失ったと同時に涙が溢れました。宮崎駿ほどの齢になっても、在りし日の母を求め、その喪失感に包まれている。それほどまでに"母親"の存在とは大きいものかと。宮崎駿と母親の関係については様々なところで語られていますが[1]、2023年に辿り着いた母親像がヒミってことなんですね。彼が描く女性は、強く、深く、逞しい。その要素は兼ね備えた上で、ヒミには元気さ、天真爛漫さも追加されていたように感じました。

宮崎駿にとって母親に次いで大きな存在、高畑勲。「高畑勲さんがこの大叔父のモデルなんです。[1]」と鈴木敏夫さんご自身がインタビューで語っています。今作の登場人物はすべて宮崎駿が関わってきた人がモデルになっているとも。「サギ男は誰がどう見たって僕なわけですよ。[1]」

そういう意味で"君たちはどう生きるか"というタイトルに意味はない。別に僕らに問うている訳じゃないはず。ただ、宮崎駿が「俺はこう生きてきた。それだけ。」と言っているのは感じる。そこから僕らが「あぁ、宮崎駿はこう生きていて、それが連綿と続いていて、じゃあ俺はどう生きてくのかな。」と勝手に考えるのは自由ですよね。鈴木さん、やっぱりこれはいいタイトルですよ。


宮さん、お疲れ様でした。


参照
[1] SWITCH Vol.41 NO.9 SEP. 2023, "ジブリをめぐる冒険"
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