君たちはどう生きるか
10年前に引退表明をした宮崎監督だが、それを撤回して作ったのがこの長編アニメ作品。事前情報が全くないことが話題になっているが、監督が少年時代に読んで感動した吉野源三郎の著書 "君たちはどう生きるか" がタイトルの基になっている。
様々な人々や生物との出会いと別れを繰り返す、主人公の成長物語としての仕上がりは、"千と千尋の神隠し" に近いと感じたが、とにかく過去作品の要素が色々ごちゃまぜに詰め込まれていて、よくも悪くも宮崎駿監督の集大成の作品という印象を受ける。
いつものようなエンタメ的な要素は少なく、逆に観客に読み解かせる部分が多いので万人向けの作品とは言いづらいが、音楽が多く用いられているのもあり、物語に流れるように乗っていけてあっという間 の124分だった。
さらに監督の自伝的要素が強く、"私はこうやって生きた" と自分の生い立ちと重ね合わせながら、若い世代に対し "今のひどい世の中を変えられるのは君たちだ" と作品を通じて語りかけているように思えた。
