緑雨

君たちはどう生きるかの緑雨のレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.0
宮崎駿の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』。目眩く妄想世界の物語構築には圧倒されるが、描いている本質はシンプルでプリミティブ。

『風立ちぬ』っぽく始まるが、全体は『千と千尋の神隠し』と近しく、終盤に『ラピュタ』的要素がちょっと加わる感じ。傲岸不遜な父親像は『千と千尋…』の両親と重なるものがあるし、異世界での冒険奮闘を経ることによる成長譚の構造も共通。序盤の自傷行為にはドキリとさせられたが、これが終盤において意味を帯びてくる。

青サギをはじめとする鳥たちの造形はユニークだが、婆さんズやワラワラはどこかで見たような。全体に世界構築に新しさはあまり感じなかったが、キリコと出会う水辺の世界のデザインは素晴らしいと思った。
緑雨

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