ピロシキ

君たちはどう生きるかのピロシキのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.3
宮﨑駿が『フェイブルマンズ』を作ろうとしたら『レディ・プレイヤー1』ができちゃった、みたいな映画。「君たち」なんて呼びつけてくれちゃって、さぞかし老人特有の説教臭さに溢れた教育アニメーションなのだろう、とタカをくくっていたがそんなことはなかった。それどころか、次から次へと押し寄せる爆烈なイメージの大波小波にソッコーなぎ倒されてしまった。なんかもうとにかく最初から最後までずっと面白かった。

主人公の少年は紛れもなく宮﨑駿本人なのだろうし「監督自身の走馬灯」という表現は的を射ているだろう。まさにキャリア集大成である。もののけ姫っぽいなと思ったら千と千尋になり、次はポニョが顔を出して、ナウシカからハウルになり、また次の瞬間には千と千尋とラピュタと魔女宅が同時に押し寄せ、果てには未来少年コナンまで出てきてエトセトラみたいな感覚。どうやら本当に、これで最後なんだと思う。そう考えるとなんだか無性に込み上げるものがあった。

「学ぼうとしたら死ぬ」らしいから、今はこれ以上何も考えないけど、、宮﨑駿が存在する時代の世界を選んで、その扉を開けられたことは、やはり幸運だったのだろうと思わされる。
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