在宅フリーターをしていた陽子。20年以上断絶していた父が突然亡くなり、従兄・茂の一家の車に乗せられ帰ることに。
しかし、高速SAで起こった子供の怪我の騒動で置き去りにされてしまい、ひとりヒッチハイクをしながら北に向かうことにする。大胆な決断。
北上する一夜の旅で出会う人々・・・シングルマザー、人懐こい女の子、怪しいライター、心暖かい夫婦、そして若かりし父の幻・・・様々な人々との出会いは陽子の心を変えていく。
従兄一家がいなくなってしまったのは驚きだが、お金もないのにヒッチハイクというのは、そもそも陽子の心がすっかり病んでいたのだろうか。生きることにも投げやりだったのにそんな行動に出たのは、やむを得ないと言え無謀、いくらなんでも待っていれば・・と思ってしまったが。。
まあ、普通ヒッチハイクなんて乗る方も乗せる方も危険だし、断るよね、と思うのだが、最初に載せてくれた人にお金を借りようとしたり、とんでもない男に引っかかったりして、イラッとした。
まあ乗せてもらって助かったわけだが・・。助けてくれる人はいるものだ。
素敵な老夫婦との出会い、そして青森まで、最後の困ったところで救いの手が差し伸べられ、閉ざしていた陽子の心が溶けていく過程がなんとも言えずに胸に響いてきた。
菊地凛子さんが旅と共に変化していく圧倒的な演技力に感動。関わる人々も素敵。
こんな行動が新たな一歩を踏み出していく。ラストの余韻がよかった。
時間と共に染み入ってくる深みのある作品。
