ゆめちん

シック・オブ・マイセルフのゆめちんのレビュー・感想・評価

シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)
3.0
シック・オブ・マイセルフ
 
ノルウェーの首都オスロ。カフェで働くシグネは、現代アーティストのトーマスと同棲をしていた。そんなある日、シグネは犬に噛まれカフェに逃げ込んできた女性の手当てを行うが、そこで浴びた視線に快感を覚えてしまう。
 
思いっきりダークな風刺コメディ。承認欲求モンスターの大暴走にしか見えないヒロインが痛々しい。"注目される快感" のためだけに、行動をどんどんとエスカレートさせていくシグネに呆れてしまう。

同じノルウェー映画の "わたしは最悪。" も、決して褒められない女性をコミカルに描いたが、シグネのほうが最悪。さらにシグネの隣にもっと自己中な恋人がいるのも大暴走の要因に思え、もう苦笑いするしかない。

そして最も恐ろしいのは、現代のSNS社会にも通じるところ。彼女の行動は極端すぎるが、これを観て他人事でないと思う人がきっといるはず。

"ホロコーストの罪人" で、ナチスにより夫と引き離される妻というシリアスな役柄を演じたクリスティン・クヤトゥ・ソープが、今作では救いようのない主人公を体当たりで演じ切る。特に観る者をイラっとさせる演技が上手すぎる。今後も注目していきたい。
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