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マイ・エレメントのyumeayuのレビュー・感想・評価

マイ・エレメント(2023年製作の映画)
4.0
"この君の輝く炎が大好きなんだ"

『リトル・マーメイド』『ウイッシュ』等、ウォルト・ディズニー・カンパニー創立100周年記念イヤーに公開された作品の中では一番良かったんじゃないでしょうか!?

本国アメリカでは初動が悪く赤字覚悟と思われていた興行収入も、口コミのおかげで最終的には黒字に。観客支持率の高さからジワジワと評価が上がっていった珍しい作品でした。
確かに公開前の予告編等の第一印象はあまり面白そうには感じませんでした。
しかし、実際見てみるとそんなことはなく、想像以上に優れた作品だと感じました。

火、水、土、風の元素が暮らすエレメントシティは明らかに人種の坩堝といわれるアメリカの縮図。あぁ…これはまた昨今のディズニーがやりがちなポリコレを意識した物語なのかと思いきや、そのようなメッセージ性は意外と薄く、割とガッツリ王道なラブストーリーでした。

主人公のエンバーをはじめとする火のエレメント達は明らかに移民のメタファーだと思うのですが、これはかつて韓国からニューヨークに移住し、そこで暮らし始めたピーター・ソーン監督の両親の姿が投影されているという。

ピクサー作品は作り手の経験をもとに製作されることが多く、今作もそうしたリアルで普遍的な物語が観客の心に響いたからこそ、共感を得て口コミで広まっていったのだと思います。

また、日本語キャストを勤めた川口春奈、玉森裕太も素晴らしかったですね。
正直、最初に玉森裕太の名前を聞いた時は失礼な言い方ですが、俗に言う「ジャ⚪︎ーズ枠」かと思っていたのですが、泣き虫なウェイド役を好演しており、MVPとも言える存在感でした。

ピクサーとしても前作『バズ・ライトイヤー』(こちらもピーター・ソーン監督)が微妙だっただけに、本作で何とか面目を保ったというところでしょうか。
個人的にも久しぶりにディズニー映画で満足した作品でした!
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