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マイ・エレメントのKEiGOのネタバレレビュー・内容・結末

マイ・エレメント(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

王道ラブストーリー!
まさかピクサーでここまでド直球のラブストーリーを作ってくるとは…!

ローリングストーン誌のDavid Fear氏は"The fact that Elemental can’t seem to get past its own elevator-pitch premise or avoid tripping over its teachable lessons, much less wring laughs and sobs from an opposites-attract love story, is a bit of a shock. It’s so busy trying to pen an op-ed that it forgets to give it a narrative structure and make it emotionally resonate. That’s just elementary.[1]"と評していますが、僕は全然そんなことなかったですね。なにを隠そう物語の終盤でしっかり泣いてしまいましたから…。とにかくテーマは”誰かを好きになって、愛するということ"、"その過程にある心のコミュニケーション"、”自分自身に素直に生きること”という至って普遍的、言ってしまえばよくあるものだったと思います。その要素は十分にアニメに落とし込まれていたし、その分脚本もシンプルで分かりやすかったと感じました。主人公エンバーが家族と大切な人の間ではじめて自分の内に秘めた想いに気づく過程も丁寧に描かれていたと思います。だから”ラブストーリーから涙を誘うこともできない[1]"という批評は少し穿ち過ぎではないかと思いますね。

そもそもそんなに"自分が望む正しいもの"だけを求めるのは傲慢ではないか?観る前は「エレメントでポリコレいっぱい言ってきたらだるいなー」と思ってましたが、そんなことは一切感じませんでした。社会的テーマに触れないわけではないんだけど、そっちじゃなくてあくまでエンバーとリップルの恋模様に軸足を置いた匙加減が良かった。見やすかったと思います。

批判するなら『マイ・エレメント』が決して新しいフォーマットではなかったという点でしょう。ともすればどこにでもあるラブストーリーを今更作ってきたピクサーへの落胆なら理解できます(というかRotten Tomates[2]を読んでいるとそういうレビューが多いように感じます)。でもこれを書いている2023/08/12時点でTOMATOMETERは74%はあるし、AUDIENCE SCOREに至っては93%です。これは良い意味で、デートで観て「面白かったね」「素敵だったね」と語らい楽しむには十分な映画だと思います。だからこそド直球ラブストーリをやってくれた今作が好きでした。


大切な人と観てほしい。そんな映画です。



参照
[1] David Fear, "‘Elemental’: Pixar’s Steamiest Love Story Will Leave You Cold", RollingStone, Jun 12, 2023, https://www.rollingstone.com/tv-movies/tv-movie-reviews/elemental-review-pixar-leah-lewis-love-story-1234768719/
[2] Rotten Tomatoes, "ELEMENTAL", Aug 12, 2023, https://www.rottentomatoes.com/m/elemental_2023
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