ヒデ

怪物のヒデのネタバレレビュー・内容・結末

怪物(2023年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

「僕ね。よく分かんないけどすきな子がいるんだ。人に言えないからウソついてる。幸せになれないってバレるから」

ある田舎町で起きた放火とイジメ。その元凶となった"怪物"は誰か?

劇中には様々な問題(=怪物)を抱える人物たちが登場する。息子の奇行に困惑するシングルマザー(安藤サクラ)、上の決定で無理やり辞職へと追い込まれた小学校教師(瑛太)、モンスターペアレントに対し杓子定規の回答で揉み消しを図る校長(田中裕子)、学校でイジメに遭い、さらに酒浸りのシングルファザーを抱える息子(柊木陽太)。

物語は大きく3つのパートに分けられ、それぞれの視点から事の顛末が明かされていく。担任の暴力を隠蔽する学校に立ち向かう安藤サクラ、その事件の当事者である瑛太、そして息子自身。安藤サクラの話の時はマジ瑛太クソだなと思ったけど、一方からの視点で物事を判断してしまうことがいかに危険かを学ばされた。

2〜3パート目では序盤に仕掛けられた違和感が「そういうことだったのか!」と明かされていくカタルシスがあり、『イニシエーション・ラブ』のような構成。刺激が絶えないため126分間全く飽きずに見れる。

子供達が同性愛者であり、その事実を言えない(または抑圧されていた)ことから全てが始まっていたというラストは意外だった。事なかれ主義の校長や、瑛太を捨てた高畑充希、息子を虐待する中村獅童などモヤモヤするポイントは残っていたものの、終わり方には希望があって良かった。
 

以下、セリフメモ。


「怪物だーれだ?」

「お前の脳は豚の脳、って言われた」

「堀先生ね、放火あったビルのガールズバーにいたらしいよ」

「ねぇ、私が今話しているのは人間ですか?あなたたちには人の心がない!」

「こんな先生がいるところに子供を預けられません。堀先生をクビにしてください」

「本の誤植を見つけて出版社に手紙書くのが趣味なんて」

「僕は殴ってません!暴れる麦野を止めたらぶつかってしまっただけなんです」

「あなたがこの学校を"守る"の」

「麦野ー!麦野ー!ごめん、先生が間違ってた!!」

「他の人がいる時は話しかけないでくれる?」
「いいよ」
「…ありがとう」

「誰でも手に入れられるものを"幸せ"と言うのよ」

「星川くんがビルに火をつけたの?お父さんがガールズバーでお酒飲んでたから?」
「お酒は体に悪いんだよ」

「ビッグクランチが来る前に、生まれ変わる準備しないとね」

「僕たち、生まれ変わったのかな」
「そういうのはないと思うよ」
ヒデ

ヒデ