勝沼悠

ゴジラ-1.0の勝沼悠のレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
5.0
 特攻できずいたところをゴジラに襲われた男。終戦後、彼のいる東京に核実験によって巨大化したゴジラが現れる。。。

 本家東宝がモンスター・ヴァース真っ只中に世界に通じるゴジラをつくる。MVのゴジラが『三大怪獣 地球最大の決戦』の怪獣もりだくさんの中期ゴジラのテイストなのに対して、マイナスワンは一作目のテイストとして差別化。
 CGの差は歴然なのでゴジラは生きてるみたいに動けない。だから大きくてゆったり動いて怖いゴジラをつくる。CGの時間を多くはできない。だから、アサイラム映画みたいに人間ドラマの時間も多めに取らないといけない。非常に戦略性を感じる。

 で、その人間ドラマ、確かに批判されるのも分かる。生きたいんだか死にたいんだかボヤっとしていて、下手をすれば愛国、保守的にも取られる。そして展開が非常にベタである。
 でも私はこれでよかったと思う。元祖54年のゴジラは戦後10年経ってない中でつくられ、反核が一つのテーマであり、特攻するのは科学者芹沢博士だった。マイナスワンはゴジラと対峙するのは先の戦争を生き延びてしまった人達で、特攻するのは神風特攻を生き延びてしまった男。テーマはストレートに戦争からの心の復興であり、これは戦後10年ではつくられなかっただろうなぁと思う。でも、両方を比べると元祖よりマイナスワンの方が自然に感じる。
 ストーリーがご都合主義でベタなのは仕方ない。そういう映画だから。怪獣映画の人間ドラマなんて一個テーマがあってベタにつき進むくらいがしっくり来るのである。
 
 そして、この映画が見事アメリカを席巻したことがまた一つメタな意味を持つ。
 世界に通用するゴジラを日本がつくる。その答えは究極のアサイラム映画だった。マイナスワン大勝利。
勝沼悠

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