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ゴジラ-1.0のドントのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.8
 2023年。面白かった。心に傷持つ戦地帰りの青年も日本の復興と共に徐々に幸せを感じつつあった1946~47年、ゴジラが来て戦艦とか壊すし東京をボテくり回してさぁ大変、な山崎貴印のゴジラ・ムービー。
 いろいろ言いたいこともあるけどひとまず面白かった、と書いておきたい。人間パートは邦画の悪癖であるコチコチした説明セリフとか、そこは別にやらなくてよくね? みたいな部分があったりとかする。このあたりはかったりぃな、サッとやれねぇもんかな、と思いつつ腕を組みながら眺めていた。
 あと「-1.0」という謎のタイトルには、詳しくは書かないが「いやゼロから復興つっても、俺は……」みたいなのが含有されている。このあたりはなるほど興味深い切り口だと思ったものの、それにしたって君それはやって行きすぎじゃね? 気負いがすごいし迷惑じゃね? と感じさせる箇所があり、やはり山崎貴にとって人間は「お話」を展開させるためのギアなんだなぁ、となった。いやギアならギアでいいんですが、油を差してドラマがよく回るようにしてもらわないと。
 悪口を先に書いた。ここからは褒めていきます。ゴジラが出てるところはぜんぶ面白かったのでゴジラ映画としては何も言うことはないのであった。特に東京は銀座蹂躙シーンのゴジラの怖さ、振り向いただけでビルがブッ壊れるどころか歩くだけで人が死ぬあたりの巨大な恐ろしさがかなりギュンギュンであり、とどめの一発とばかりに東京にアレをアレするシーンなんかは「わ、わぁ……やっちゃった……」と戦慄した。初代の設定やリアルの歴史にあまり触れることなく「この怖さ」を生じさせたあたりはすごいと思う。
 人間とのバトルも遠近両方を自在に操ってまぁ見事なやり合いであった。米ソはともかく日本国政府がなんもやらねぇってのは政治不信ないし現場主義が徹底しすぎててちょっと恐いが、54年初代ゴジラとは違って超科学(=科学が切り開く明るい未来)もない日本人が手持ちのアナログとアイデアでどうにかしようとするあたりの対ゴジラ科学実験的作戦は素直にアガった。もうひとりの自分が「現場の努力でなんとか回そう、みたいな感じよね……」と言っているけどそれはひとまずおいておきましょう。
 そんなこんなでゴジラの暴れっぷり、男たちの「うぉー何とかするぜ何とかするぜ」なイキのよさ、と同時に「いや、あんまり無茶をしちゃあいけないよ……」と釘を刺すあたりでギリギリのバランス感覚が保たれていて、いろいろ言いたいこともあるけどやっぱり面白かった、と書いておきたい(2回目)。ゴジラが出てるところはぜんぶ面白かった(2回目)
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