Jaya

小さなアコーディオン弾きのJayaのネタバレレビュー・内容・結末

小さなアコーディオン弾き(1994年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

カザフスタンの田舎のアコーディオン弾きエスケンのまわりに起こる出来事のお話。テュルキスタンはトルキスタンかと思いきや全く別物らしい。

エスケンの魅力がとことん素晴らしかったです。村の出来事の傍観者のようにすら思える澄んだ表情。とんでもなく素朴な撮影や演出がそれをどこまでも引き出しているようでした。

監督の記憶が強く反映されているなか、旧日本兵の立ち位置は素晴らしい。ユダヤ人ユーラの存在は歴史を知らないと難しい。カザフ語とロシア語は音からかなり違うようでしたが、字幕の扱いが一定していなくて分かりづらいです。

象徴が煮詰められた人々が、悪戯や恋を通して映し出されていくさまがとても心地良い。アコーディオンはレコードに代わり、旧日本兵も帰国し、少年時代の幕引きまでも意味するのでしょうか。

素朴過ぎる撮影もありましたが、大きな視点と小さな視点が素晴らしいバランスで入り混じり、狭くて広い世界と広がりを待つ世界に生きる少年が美しく描かれた作品でした。
Jaya

Jaya