リンコロシネマ

シモーヌ フランスに最も愛された政治家のリンコロシネマのレビュー・感想・評価

4.0
【フランスに最も愛された政治家】

弱者の人権のために闘ったフランスの政治家シモーヌ・ヴェイユは女性初の欧州議会議長を務め人工妊娠中絶の合法化や出産費用を無料化し、無痛分娩もすべての女性の権利として無償化したり、保育現場の整備など女性ケアに尽力し大きな功績を残した。また家畜以下の扱いを受けていた刑務所内の囚人の環境整備にも努めた。

これらはユダヤ系であったシモーヌが16歳の時、ドイツ支配下にあったフランスで生まれ育ったためにアウシュヴィッツに収容され奇跡の生還をした経験からかと思われる。その過酷な映像は涙なしで観ることができなかった。

映画は晩年のシモーヌが執筆していきながら過去を振り返る形式をとっているため時代があちこちに飛ぶが時代背景とシモーヌ自身がが大きく変わるため混乱はしない。

《あらすじというかシモーヌのこと》
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1974年、パリ。フランス国会はカトリック人口が多数を占め、さらに男性議員ばかりだった。そんななか、シモーヌ・ヴェイユ(エルザ・ジルベルスタイン)はレイプによる悲劇や違法な中絶手術の危険性、若いシングルマザーの現状を提示し、「喜んで中絶する女性はいません。中絶が悲劇だと確信するには、女性に聞けば十分です」と語りかけ、圧倒的反対意見をはねのけ、後に彼女の名前を冠してヴェイユ法と呼ばれる中絶法を勝ち取る。1979年、女性初の欧州議会議長に選出されると、大半が男性である理事たちの猛反対を受けながら、「女性の権利委員会」を設置する。女性だけではなく、移民やエイズ患者、刑務所の囚人など弱き者たちの人権のために闘い、フランス人に最も敬愛された女性政治家、シモーヌ・ヴェイユ。その不屈の意志は、かつてアウシュビッツ収容所に送られ、死の行進や両親と兄の死を経て生き抜いた壮絶な体験によって培われたものだった……。
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シモーヌが様々な偉業を成し得たのは夫・アントワーヌの理解あるサポートがあったからこそなのだろう。